ラグジュアリーブランドがLINE Mini App × Salesforceでパーソナライズされた顧客体験を実現
1847年創業の世界的ラグジュアリーブランドがLINE Mini AppとSalesforceを活用し、イベント運営の効率化と顧客データ活用による高度なパーソナライズ顧客体験を実現。デジタルトランスフォーメーション成功事例をご紹介。
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クライアントの事業紹介
1847年にパリで創業した当クライアントは、170年以上にわたってハイジュエリーと高級時計を手掛けてきた世界的ラグジュアリーメゾンです。王侯貴族から現代のセレブリティまで幅広い顧客層に愛され続け、伝統的な職人技と革新的デザインを融合させたアイコニックなコレクションを数多く発表してきました。現在は欧米・アジアを中心に約200以上のブティックを展開し、グローバルなブランド価値を築いています。
背景と課題:
これまで実店舗に来られたお客様への販売に注力してきた同社では、デジタルチャネルを通じた顧客体験の創出、顧客データの収集、そしてブランド認知向上において新たな戦略が求められていました。
そこで、まずは定期開催しているオフラインイベントの手作業を省くための、LINE MINI APPの開発から開始しました。その他に以下のような課題を当初抱えていました。
- イベントの参加申し込み、会場への入場などのプロセスが手作業で行われており、顧客や、運営側にとって非効率で手間になっていた。
- LINEを通じた顧客データの収集が十分にできていなかった。
- LINEの公式アカウントだけでは、ハイエンドな顧客の期待に応えるブランド体験を提供できていなかった。
- 顧客にパーソナライズされた情報発信ができていない。
取り組み
- Line MINI APPでイベント参加申し込み → デジタルチケット配布 → QR コードでイベント会場でのチェックインを実現
- LineとSalesforceを連携し、詳細なユーザーの行動データをSalesforceに蓄積できるようにする。
- 蓄積されたユーザーデータをもとに、高度なセグメント配信を実現
- ブランド体験を高めるパーソナライズされたグリーティングカード機能を提供
成果
- 新規公式アカウントの登録者数が増加
- イベント運営における業務工数を削減
- LINE上でのユーザーデータをもとに、セグメント配信を実施
スムーズなイベント予約フロー
LINE MINI APPを基盤としたイベント参加申し込みシステムを開発し、デジタルチケットの配布からQRコードを活用したイベント会場でのスムーズなチェックインまでを一貫してデジタル化しました。LINEのプッシュ通知、QRコード、リッチメニューなど複数の入り口を効果的に活用することで、素早く直感的なイベント登録プロセスを実現し、ラグジュアリーブランドならではの特別感とスムーズさを兼ね備えた顧客接点を創出しました。
運営側においても、予約オプションのカスタマイズが容易になり、即時の登録通知機能と店頭での簡単なチェックインシステムにより管理運営の大幅な効率化を達成しています。

LINE とSalesforceの連携
LINEとSalesforceは、それぞれ独立したプロダクト基盤上で動作しており、データ構造や通信プロトコルが異なるため、直接的な連携では要件に柔軟に対応できないケースが多く見受けられます。この課題を解決するため、スクラッチでミドルウェア「API Extension Hub」を開発し、両システム間の最適な連携を実現しました。
- メッセージイベントの統合管理
- LINE Messaging API から受信するWebhookイベント(ユーザーのタップ、メッセージ送信など)をAPI Extension Hubが受け取り、ビジネスロジックに応じて適切な処理フローにルーティングします。
- Salesforce向けデータ整形および連携制御
- 受信したデータをSalesforce Marketing CloudやService CloudのAPI仕様に合わせて整形し、コンタクト登録やアクティビティログ記録、ジャーニートリガーといった処理を実行します。これにより、一貫性のあるカスタマージャーニー設計が可能となります。
- 外部システムとの拡張連携
- LINEやSalesforceに加え、予約管理システム、CRM基盤、POS、在庫管理などの外部システムとも連携可能な拡張設計を実装。これにより、ブランド体験の統合的な最適化を図ります。
- セキュリティ・認証・エラーハンドリング
- API Extension Hubでは、アクセストークンの検証、ペイロードのスキーマチェック、処理ログの記録、異常時の通知設計など、エンタープライズレベルのセキュリティ設計も担保します。

API Extension Hubは単なる「連携用中継サーバー」ではなく、顧客体験のハブとしての役割を担います。
特に、LINEという接点を通じてブランドがリアルタイムに価値提供するためには、このような柔軟かつ堅牢な設計が不可欠でした。
Line Mini APPでのパーソナライズされたブランド体験
グリーティングカード機能は、年間を通じて様々なイベントで活用されるパーソナライズされたデジタル体験を提供しました。
ユーザーはさまざまなテンプレートやメッセージから、好みに合わせたデジタルカードを作成し、LINEの友だちに送ることができます。
ユーザーエクスペリエンスとしては、まず背景や表示項目などのビジュアル要素を選択し、次に一般的なメッセージを選択します。その後、「Dear/From」や任意のメッセージなどのパーソナライズ要素を追加し、LINEコンソールで受信者を確認・選択するという直感的なフローを実現しています。ブランドイメージを保護するため、ブラックリストに登録された不適切な単語やフレーズには適切なエラーメッセージが表示される仕組みも組み込んでいます。
受信者は自分だけのオリジナルカードを受け取ることができ、さらに他の友だちのために自分もオリジナルカードを作成できるCTA(Call to Action)も用意されており、ブランド体験の拡散効果も期待できる設計となっています。

成果
これらの取り組みにより、ブランドと顧客のデジタルを通じた繋がりが大幅に強化され、ブランド認知向上にも大きく貢献しました。新規公式アカウントの登録者数が順調に増加し、イベント運営における業務工数の大幅な削減も実現しています。
特に重要な成果として、SalesforceとのAPI連携により、これまで取得できていなかったLINE上での詳細な顧客行動データまで収集できるようになったことが挙げられます。蓄積されたユーザーデータを基に高度なセグメント配信を実施できるようになり、同社はさらにパーソナライズされた顧客体験の創出を継続的に実現していくことが可能となりました。
この統合ソリューションは、ラグジュアリーブランドにおけるデジタルトランスフォーメーションの成功事例として、伝統的なブランド価値を保持しながら最新のデジタル技術を効果的に活用した顧客体験向上の新たな可能性を示しています。
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